考えてみよう 
家族をつくる選択

第5章 親になる資質

第1節 良い親になれるかどうか、どうすればわかりますか。

子供を持つ前にほとんどの人がこう自問します。この問いの背後によくあるのは、良い親になれないという心配や怖れです。親になることについて心配したり怖れを感じたりするのは当然のことです。自分は父性的/母性的だと思わないから、「悪い」親になるのでは、と心配になるのかもしれません。あるいは、自分が成長してきた過程で素晴らしい子育てを受けたことがなく、自分の親が自分にした子育てよりも良い子育てができるのだろうかと考えるかもしれません。

実際、だれもが、自分の子供時代から来る固定観念や前提を子育てに持ち込みます。でも、人生を歩んでいく中で、親の資質となるものを沢山学んでもいます。自分が良い親になるのか、すばらしい親になるのか、前もって確実に知るのは不可能です。

でも、次のようなことを考えることはできます。
良い親の資質とはどんなものか、
自分は親という仕事をやり遂げられるのか、
親という仕事ができそうにないなら、自分の何を変え、学ばなければならないか、
あるいは親という責任を果たすのに本当は向いていないのか。

親のどんな資質が大事だと思うか、自問しましょう。
自分の両親、親になっている友人や家族を見てください。どんな資質が彼らを良い親にしていると思いますか。そういう資質を書き出しましょう。たぶん、忍耐強さ、愛情、面倒見のよさ、のんきさ、順応性といったものでしょう。
次に、子育てに持ち込める自分自身の資質を書き出しましょう。
二つのリストを見比べてください。あなたの資質のうち、良い親の資質と一致したものはありますか。
良い親の資質リストにあって、自分のリストにないものがあっても、自己開発できるものもあるでしょう。例えば、あなたがかなり神経質な人で、子育てにはもっと穏やかで無頓着になる必要があると考えているとします。それなら、ストレスを減らしてもっと気持ちを安定させる方法として、ヨガや瞑想を生活に取り入れることにするかもしれません。あるいは、あなたは生まれつきせっかちな人かもしれません。でも、大勢の人は、親になってから忍耐強くなったと言っています。
あるいは、良い子育てには不可欠だと思うけれども、今の自分は持っていないし今後養えるとも思えない資質や、今後変えたいとも思わない資質もあるでしょう。このような場合は、親であることは、あなたにとって一番ふさわしい役目ではないのでしょう。

子供を持つ前にペットの飼育をする人もいます。これは子供の面倒をみることと全く同じではないにしても、面倒見のよさや、別の生き物への責任能力を試すのに役立ちます。

良い親になれるかどうかと自問したこと自体が良いサインです。それは、あなたが本気で責任を引き受けようとしていること、できるだけ良い親になりたいと思っているということだからです。

安心してください。父性や母性をすぐには感じない親でも、子供のことを知り、親の役割になじんでくると、そういう気持ちが育ってくると言われています。「完璧」な親はいないということを知っておくのも大切です。誰でも間違えます。幸い、そういう間違いの多くは、人生を変えてしまうようなものではありません。そして、子供は驚くほど適応力があって、立ち直りが早いのです。