考えてみよう 
家族をつくる選択

第6章 後悔する可能性

第3節 パートナーは子供はいらないというのですが、私は欲しいのです。でも、私はこの関係を続けたいので、子供を持たないことに同意しました。いつかこの決断を悔やんで、パートナーに憤りを感じるようになるでしょうか。

どんな関係にも、パートナーの希望のために自分の希望は妥協しなければならない時があります。その逆もしかりです。多分それは、どちらの仕事を優先するのか、どこに住むのかを決めるといったことでしょう。このような譲り合いは健全な関係にとって大切です。しかし、二人のうちのどちらかにとって子供を持つことが本当に大事で、もう一人にとっては子供を持たないことが同じように大事だったら、子供をもつかどうかの決断で二人の関係が壊れてしまうことはあります。

ですから、双方の希望を満たす妥協点がない場合は、難しい質問を自らに投げかけなければなりません。

  • 子どもがほしいという願いはどのくらい強いのか。親になることで自分のどんな欲求が満たされるのか。
  • 納得して実現できる他の方法でその欲求を満たせないか。
  • 子供のいない10年後、20年後、30年後の生活を想像できるか。
  • パートナーとの関係のほうが、子供を持つことより大事か。
  • パートナーの望みを叶えるために子どもを持たないことにしたら、恨むことになりそうか。

最後の質問は特に重要です。特にこういう重大な人生の選択をめぐって二人の間に怒りが生まれて溜まると、怨恨の種になってしまうからです。いったん植え付けられると、怒りはふくれあがり、わだかまることがあります。これは、実際によく起こります。鬱屈した怒りは、二人の間のあらゆる面を蝕んでいく毒のようになりかねません。

二人だけの関係に尽くして、誰かの面倒をみる方法を他に見つけることはできます。例えば、子供やペットと関わったり、年長者へのボランティア活動などです。

でも、時が経つにつれて、パートナーに対して憤りを感じ出すかもしれません。それは、いろいろな現れ方をします。言い争いや口論、浮気、他の形でのパートナーへの「仕返し」。あなたは、自分が傷つき、混乱し、弱くなり、辛辣になっていることに気付くかもしれません。自分がどれほど恨んでいるかさえわからないかもしれません。

その鬱屈した怒りが最終的には二人の関係を危うくすることが心配なら、あなた一人でも、パートナーと一緒にでも、カウンセリングを受けることを考えてもいいでしょう。悔やむかもと心配するのをやめられないのなら、今の関係を維持するよりも子供を持ちたい気持ちの方が強いのでしょう。二人の関係を続けるために、このチャンスを諦めてもよいだろうか。厳しく自分自身を問いただすことは途方もなく難しいことでしょう。あなたと一緒に親になりたいという誰かを、他に見つけるなんて不確かなことのために、今の関係の心地よさを捨てるなんて、考えるのも恐ろしいでしょう。一人親になることを考えるのであれば、『Sole support parenting』(未翻訳)の項や『パートナーなしで子供を持つ長所と短所は何でしょうか』(※)を参考にしてください。

※訳者注 日本では生殖医療に関する法律はまだなく、提供された精子や卵子から出生した子供の権利が十分に確保された状況とはいえません。現在は日本産婦人科学会のガイドラインに基づいて生殖医療が実施されていますが、生殖医療を受けることが出来るのは夫婦に限られています(事実婚を含む)。また、代理懐胎も禁止されています。カナダと日本では、法制度や生まれてくる子供の権利や福祉に違いがあることに留意してください。