考えてみよう 
家族をつくる選択

第7章 行き詰まりの打開

第1節 私は子供がほしいのですが、パートナーにはその覚悟ができておらず、時間がなくなってきている感じがします。この行き詰まりを打開するにはどうしたらいいでしょうか。

あなたは子供をもつ覚悟ができているのに、パートナーがそうでない場合、特にあまり時間が残されていないような時には、かなりストレスを感じるでしょう。そこで、あなたがまず検討すべきは、自分自身の今の生殖能力を調べること(※)でしょう。しかるべき理由もないのにパニックに陥ったり、神経をすり減らしたりするのは無意味です。だから、まずは情報を入手しましょう。理想的には、パートナーにも『生殖能力の検査』(未翻訳※)を受けてもらうことです。

※訳者注 いつか妊娠を考えるすべての女性とカップルが現在の健康状態のチェックを受けるための「プレコンセプションケア」を行う医療機関が日本でも増えています。かかりつけの医療機関に相談してみましょう。
参考) 国立成育医療研究センター プレコンセプションケアセンター

少なくとも、話し合いや決断に必要な、具体的な情報が出てくるでしょう。パートナーが子供がほしいと思っているなら、子供を持つのに適した時期をいつと考えているのか、正直に話し合う必要があります。パートナーは子供を持つことについて何か心配があるのかもしれませんし、いろいろな理由で渋っているのかもしれません。パートナーに心の準備ができるのはいつなのか、把握するようにしましょう。そして、パートナー自身の生活や、あなたとの関係にどんなことが起きれば心の準備ができたと思えるのかを探りましょう。

お互い譲らず、激しい話し合いになるかもしれません。自分にしっくりしないことがあっても、受け身になりすぎず、激しく反発しすぎず、を心がけましょう。あなたがどう感じているのか、なぜ待てないのかをパートナーに伝えましょう。それから、パートナーにも同じように考えを話してもらう時間をとって、耳を傾け、パートナーの立場を理解するように努めましょう。

パートナーの立場と感じ方をもっとよく理解する方法、そしてあなたの立場もパートナーにもっと理解してもらう方法があります。立場を交換するのです。自分をパートナーの立場に置いて、「パートナーの」主張をしてみましょう。パートナーにもあなたの立場になって、「あなたの」主張をしてもらいましょう。

こういった会話は一回では結論が出ないことを知っておきましょう。パートナーは、あなたの示した新しい考えに慣れなくてはならないでしょうし、答える前に考え直す必要もあるでしょう。その逆も同様です。

パートナーに家族をもつ覚悟が本当にまだできていないのなら、子供をもつことを延期する期間を一緒に決めましょう。例えば、現在取り組んでいる仕事が終わる1年後まで、出産育児休暇が取れる保障のある2年後まで、というようにです。ほったらかしにしたり、曖昧なまま放置してはいけません。さもないと、時間はあっという間に過ぎて、5年後、子供をもつことについて全く歩み寄っていないことに気付くでしょう。延期に同意したなら、二人とも覚悟ができた時点で子供を持てる確率が増えるように、卵子や精子の保存(未翻訳)を考えるのもいいでしょう。

この問題の解決をめざして最大限努力しても、お互いに納得できる妥協ができず、にっちもさっちもいかなくなるかもしれません。この決断は重大なことですし、生殖能力は年齢とともに衰えていきます。カウンセラーに相談して、二人がこの重大な問題を乗り越え、解決するのを手助けしてもらうのもよいでしょう。

何を言おうが何をしようが、パートナーには子供をもつ覚悟ができそうにない。その時は、自分にこう問いかける必要があるでしょう。

  • これは交渉決裂か。
  • 生涯子供を持たないリスクがあっても、パートナーとの関係を続けたいか。
  • パートナーとの関係を続けることより、子供をもつことのほうが大事か。
  • パートナーとの関係を続けて子供をもたなかったら、後悔するだろうか。後からパートナーを責めて恨むだろうか。

こうした問いへの答えによっては、『Single Parenthood/一人親になること』(未翻訳 ※2)を考える必要があるかもしれません。

あなたとパートナーに役立つ本もあります。

I Want a Baby, He Doesn’t: How Both Partners Can Make the right Decision at the Right Time by Donna Wade (2005) 意見の合わない二人がタイミング良く親になるのを決める方法 ドンナ・ウェイド著 (英語版のみ)

※2 訳者注 日本では生殖医療に関する法律はまだなく、提供された精子や卵子から出生した子供の権利が十分に確保された状況とはいえません。現在は日本産婦人科学会のガイドラインに基づいて生殖医療が実施されていますが、生殖医療を受けることが出来るのは夫婦に限られています(事実婚を含む)。また、代理懐胎も禁止されています。カナダと日本では、法制度や生まれてくる子供の権利や福祉に違いがあることに留意し、専門家に相談してください。